骨の強度(骨密度+骨質)が低下して、骨折しやすくなる(骨脆弱性)状態を骨粗鬆症といいます。
骨粗鬆症による症状は骨折です。骨がもろくなりわずかな外力で骨が折れます。
骨折以外に特有の自覚症状がないことが多く、定期的な骨密度の検査を受けることが重要です。
成長期には骨を作り(モデリング・構築)カルシウムを蓄積して、女性は17歳、男性は20歳前後に最大骨量となります。
成長期以降は、古くなった骨を壊して新しい骨を作る「リモデリング・再構築」により、40歳後半までは最大骨量を維持します。
女性ホルモンの減少(更年期)では骨の形成は正常に行われますが、古い骨が壊される(骨吸収)が活発になり骨の形成が追いつかなくなるため骨粗鬆症となります。(高代謝回転型骨粗鬆症)
加齢では、壊される古い骨が増える一方、骨を作る(骨形成)能力が低下しているため骨粗鬆症が進行します。(低代謝回転型骨粗鬆症)
我が国では男女ともに平均寿命が80歳を超え、さらに平均寿命は伸び続けており長寿時代をむかえています。
ところが健康寿命(介護が必要でなく生活できる状態)は73歳であり、男性では約9年、女性は約12年の介護が必要である事を意味します。
骨粗鬆症で骨折を起こすと介護が必要な状態となり、また死亡のリスクが上がります。
骨粗鬆症の薬物治療・運動療法を行うことで転倒や骨折の50%が予防できます。
骨粗鬆症による骨折では連鎖的に次の骨折が起こりやすくなり、背中が丸くなることで、胃食道逆流現象など消化器疾患、呼吸器障害、心臓機能低下、歩行バランス低下による転倒や歩行障害の原因となり、生活の支障となります。
加齢により筋肉量が低下(サルコペニア)して筋力低下をきたし、さらに骨・関節・神経など運動器の疾患が加わり、移動能力の低下(ロコモティブシンドローム・略してロコモ)が起きると転倒しやすくなり、骨粗鬆症の状態の方は骨折がより重症化してしまう恐れがあります。
骨粗鬆症の診断を行い、薬物治療→運動療法で骨折を起こさないようにし、健康寿命を延ばすことが治療の目的です。
加齢が最も多い原因ですが、下記の原因も考えられます。
特に閉経後の女性は注意が必要で エストロゲン(女性ホルモン)の減少に伴い骨量が減少します。
出産可能年齢の女性は、生まれてくる赤ちゃんに必要なカルシウムを蓄えるため、骨代謝において骨吸収を抑制して骨からカルシウムが溶け出すのを抑える働きがあります。閉経後エストロゲンが減少すると、骨吸収の割合が増えるため、骨形成が追いつかなくなります。(高代謝回転型骨粗鬆症)
この場合、骨形成が追いついてくると新しい骨ができるのですが、骨吸収のスピードの方が骨形成のスピードより4-5倍速いため、放置しておくと加齢変化が強くなる年齢になると骨形成の力がなくなり、低い骨密度のままでさらに加齢による骨密度の低下が加わります。
閉経後の骨粗鬆症の患者さんは、70歳頃までは破骨細胞の活動性を抑えることで骨量を増やすことが可能です。この時期を逃すと、加齢のため骨形成能力が低下して治療が難しくなります。
運動は骨にかかる力が大きく、繰り返しが多いほど骨を強くすることがわかっていますが、無理に激しい運動をする必要はありません。
ウォーキング等は骨にかかる力は大きくはありませんが、継続して行えば効果が期待できます。
詳しくは医師にご相談ください。